【外交の安倍】 なぜ安倍元首相はプーチンに接近したのか? 日本が展開した「中国にらみの対露外交」の行方
★なぜ安倍元首相はプーチンに接近したのか? 日本が展開した「中国にらみの対露外交」の行方
4/24(日) 6:02配信
安倍晋三元首相はプーチン大統領と蜜月関係にあると言われた。なぜ安倍氏とその周辺はそうした方針をとったのか。
また、そうした方針はロシアのウクライナ侵攻によってどのように変化していくのか。
戦後の日本外交史を専門とし『現代日本外交史』(中公新書)などの著書がある上智大学教授の宮城大蔵が、冷戦後の外交の流れのなかでこれらの問題を考える(以下、本文中の肩書き・役職は当時のものです)。
●ウクライナ侵攻と没落するロシア
ロシアによるウクライナ侵攻によって国際秩序が大きく揺らいでいる。
予想外に苦戦したロシアのプーチン大統領は核兵器の使用までほのめかし、一方で欧米や日本はロシアへの経済制裁を強めている。
この紛争がどのような形で終息するか、はっきりと見通すことは現状ではまだ困難だろう。
しかし、今回の紛争の一つの帰結は、ロシアの衰退、没落となることは間違いないように思われる。
ロシアはソ連時代の超大国の座からは滑り落ちたものの、核兵器を含めた強力な軍事力を持ち、それがロシアの国際的な存在感の源泉となっていた。
しかし、ウクライナでの苦戦でロシア軍の精強さには疑問符が付き、あげくに民間人に対する大量殺戮疑惑さえ浮上している。
プーチン大統領は最終手段として核兵器の使用をほのめかすが、その姿は核兵器の誇示でしか存在感を示すことのできない北朝鮮と重なって見える。
プーチン大統領は、冷戦後にロシアの意向を無視してNATOが東方拡大したことに怒りを募らせたと言われるが、仮に今後ウクライナの中立化を取り付けたとしても、ウクライナの国民感情は当然ながらロシアから離反するだろう。
さらに今回の侵攻を受けて、フィンランドやスウェーデンはNATO加盟の意向を示している。
くわえて国際社会におけるキープレイヤーとしてのロシアの地位は大きく損なわれ、今後、長期にわたって孤立と疎外に直面せざるを得ない。
●中国台頭と日露提携という戦略
そのことは日本外交にとって何を意味するのか。
プーチン大統領と蜜月関係にも見えた安倍晋三首相の対露外交がどのようなものだったのかに関心が向くのはもっともだが、ここでは時間軸をより長くとり、冷戦後に模索されてきた「中国にらみ」の日本の対露外交が、今回のウクライナ侵攻によって、実質的に幕引きとなったことに着目すべきだろう。
「中国にらみ」とは、冷戦後に顕著となった中国台頭に対して、ともに中国に押される形となった
日露が提携して対中バランスをとるという発想であり、「ユーラシア外交」を掲げた
橋本龍太郎政権(1996~1998年)にはじまる戦略的構想の一つであった。
その端緒となった経済同友会での演説(1997年7月)で、橋本首相はアジア太平洋に大きな影響を及ぼす
日米中露の中で、日露関係が一番立ち遅れているとして、「信頼、相互利益、長期的な視点」の三原則で
日露関係を発展させようと、ロシアに向けてアピールした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f7885aee7a63bb7fe01c01b2c94e2b0c1eb795a
続きは